高齢者への支援のポイント
高齢者になると認知症になりやすくなりますが、誰もがなるわけではありません。原因ははっきりしていませんが、ご本人の性格や生活習慣も関係していると考えられます。家族が予防を手伝うために、認知症になりやすい性格や生活習慣について知っておきましょう。あわせて予防法についても紹介します。
認知症になりやすい性格
几帳面でまじめ、思考がネガティブ、人見知り、短気で怒りっぽいといった性格の人は、一般的に認知症になりやすい性格と言われています。反対に、性格がおおざっぱで前向きな性格、社交的で楽観的な人はなりにくいようです。
認知症になりやすい性格の人は、まじめで責任感が強く、自分のできる範囲を超えてがんばってしまうことが多いと思います。そのため、ストレスも溜まりやすく、発散するということもできずに認知症になりやすいのです。
ご本人が自分の性格を自分で変えるのは難しいので、周囲からコミュニケーションをとることもよいでしょう。自分の性格に気づいても相談できない場合があるので、高齢者の方の話を聞ける周囲の体制があるとよいです。
認知症になりやすい生活習慣
生活習慣も認知症には大きく影響すると言われています。野菜を食べずに肉をたくさん食べる、間食が多い、アルコールの摂取が多い、満腹になるまで食べる、運動の習慣がないといった生活習慣の人は注意しましょう。
認知症にならないためのポイントは、これらの行動を控えることです。まずは腹八分目かつバランスのよい食生活を心がけ、散歩程度でよいので軽い運動習慣を身に付けましょう。
認知症を引き起こす原因疾患は70種類以上
認知症を引き起こす原因となる疾患は数多くあります。その中には脳そのものがダメージを受ける疾患だけではなく、脳以外の原因によって発症するものも見受けられます。
まず、一般的に知られているのがアルツハイマー型認知症です。これは神経変性疾患ですが、ほかにも認知症の種類はあります。
- レビー小体型
- 前頭側頭型
- パーキンソン病
- 進行性核上性麻痺
- 大脳皮質基底核変性症
- ハンチントン病
- 嗜銀顆粒性認知症
- 神経原線維変化型老年期認知症
さらに、認知症を引き起こす可能性のある疾患についても見てみましょう。
- 脳梗塞や脳出血などの脳卒中による脳血管障害
- 脳挫傷などの外傷性疾患
- 脳腫瘍
- 髄膜炎や脳炎
- 神経梅毒などの感染症
- アルコール依存症
- ビタミンB1・B12欠乏症や肝不全などによる代謝や栄養障害
また、内分泌疾患や中毒性疾患、膠原病や慢性呼吸不全などによる認知症があります。これらの症状が引き金になることも少なくありません。高齢者の方の健康状態は、常にご家族が気にかけてあげてください。
認知症予防には有酸素運動を
有酸素運動はダイエットに有効な運動とされていますが、同時に認知症予防にも効果的と言われています。ウォーキングやジョギング、水泳やヨガ、エアロバイクといった有酸素運動は脳の血行をよくする効果があるようです。
持続的に酸素を体内に取り入れる有酸素運動は、脳の血管に新鮮な酸素を含んだ血液を送り込みます。脳へ十分に酸素が送り込まれるため、脳の機能が向上します。さらに、脳内の血流が増えることで、傷ついた毛細血管の代わりに、新しい毛細血管がつくられるのです。
筋力トレーニングのような無酸素運動も認知症予防は期待できます。ただし、ハードなトレーニングでケガをする恐れもあります。ご家族が一緒に有酸素運動を始めるほうが、運動を始めるハードルは低いでしょう。
認知症は本人にとってもご家族にとってもつらい症状です。ご本人からの話を受け入れられる環境をつくったり、食事や運動の配慮を手助けしたりと、認知症になりにくい環境づくりを支援してあげましょう。