介護保険まるわかり
介護に必要な道具をレンタルできる仕組みがあることをご存じでしょうか。どんなものが介護保険で借りられるのか、借りるための条件など、知っておきたい基礎知識を確認しておきしょう。
要介護状態でレンタルでいるものが変わってくる
被介護者の身体の状態や介護認定段階によって、レンタルできる福祉用具は変わってきます。日常的な歩行が難しい方は、車椅子やその付属品などのレンタルが可能です。また、起き上がることが難しい人には、特殊寝台や床ずれ防止用具、体位変換器などの福祉用具を借りることができます。認知症高齢者の徘徊を防ぐため、屋外へ出ようとしたサインを察知し、家族や隣人に知らせてくれる「認知症老人徘徊感知機器」も、レンタル機器に含まれています。
レンタルできるものの種類は自由に決められるわけではなく、介護認定を受けたときの判断次第です。要介護度が高い人ほど商品の選択肢の幅が多くなり、手厚いサポートを受けられることとなります。
軽度の人は何がレンタルでいるのか
手すりやスロープ、歩行器や歩行補助杖は、要支援段階の人でもレンタルできます。手すりといっても、取り付け工事を伴わない簡易的なものが対象です。段差解消のために使うスロープも同様で、簡易的かつ工事不要のものと考えてください。歩行器とは、移動時に身体を支える役目を担ってくれるものです。歩行補助杖は、一般的に使われている一点で支えるものではなく、三つ足や四つ足など多点杖に限定されます。また、自動排泄処理装置も要支援段階からレンタルができますが、排便機能を有するものは対象外です。
ただし、医師の意見に基づき正式なケアプランに反映され、市区町村の確認を得ていれば、例外とされるケースはあります。例えば、パーキンソン病や末期がんなどの病気の方は、症状が軽度だった場合でもレンタルができる可能性があります。
ケアマネージャーに相談しよう
介護保険制度を利用して福祉用具をレンタルする際、利用者から事業者に申し込むわけではありません。担当のケアマネージャーに「必要」と判断されると、ケアプランに反映されます。作成されたケアプランとサービス提供書を、居宅介護支援事業書もしくは地域包括支援センターから事業者に提出することが必要です。正式な手順を踏まなかった場合、全額自己負担となってしまうことも考えられます。
サービス提供票を受け取った事業者が利用者に連絡し、商品の貸し出しができるようになります。レンタルされたものの対価として、自己負担分の1割もしくは2割を支払いましょう。また、事業者に対して、用具の利用状況について定期的な報告が必要です。使用するにあたって困ったことがあれば、レンタルを受けている事業者に相談してみてください。
介護保険の適用年齢かを把握しよう
福祉用具のレンタルを受ける際には、対象年齢に注意が必要です。介護保険の被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の第2号被保険者に分かれています。第2号被保険者は老化を原因とする特定の病気で要介護状態になったことの認定を受けていないと、サービス対象にはなりません。
年齢要件から外れる場合、他の社会保障を調べてみると良いでしょう。車椅子や歩行器、歩行補助杖は、身体障害者福祉法からの保護を受けられることもあります。介護保険制度と身体障害者福祉法、両方の対象に入る場合は、状態によって選択したいサービスが変わってきます。医療機関や市区町村の担当窓口で相談し、状況に合わせた選択をすることが大切です。
福祉用具をすべて購入しようと思うと、多額の費用がかかってしまいます。制度に含まれている商品のレンタルを、上手に活用していく必要があります。ケアプランの作成を受けたときに、必要な福祉用具についてもケアマネージャーに相談し、利用できるサービスを聞いてみましょう。