介護保険で住宅改装はできるのか

介護保険まるわかり

高齢になってから、今まで普通に生活していたはずの自宅でも、トイレや風呂が使いにくいといった不便さを感じる方は多いでしょう。工事をしたいと考えていても、費用が高くなってしまうことが懸念されます。そこで、介護保険を利用した住宅改修についてご紹介します。

住宅改装に介護保険は使えるのか

介護保険制度とは、「介護が必要になった人が受ける公的介護サービスの負担を軽減すること」を目的とした制度です。介護サービスを受けるには申請手続きを行い、要介護認定を得ることが必要です。申請を受けた市区町村は、担当者のヒアリングと主治医の意見書などを参考に、認定可否と要介護・支援レベルを判断します。

住宅改修費用の支給を希望する場合も、この認定を受ける必要があり、認定レベルによって支援内容が確定します。このため、改修を希望する場所や工事内容が、支給対象に該当しない場合は適用されません。「住宅改修で支給対象となる工事種別」は、自治体によって内容が異なり、事前申請を義務づけている場合もあります。

トイレにも介護保険が使える

要介護認定を受けており、排泄支援が必要な方にとって、トイレの改修はとても重要です。例えば、和式便器を洋式便器に取り替えるといった改修内容は、介護する側にとっても実用性が高い改修となるでしょう。他にも、便座周辺に手すりを取り付けたり、床の段差を解消したり、床材を貼り替えたりといった内容も、支給対象の工事と判断されることがあります。

「腰かけ便座」の設置は、改修工事内容から除外されていますが、介護保険を利用して購入が可能です。一方で、温水便座のように、今使っている便座に機能を追加する場合は、認められないことがあります。

浴室にも介護保険が使える

浴室も保険の適用が可能な改修工事で、使いやすさや安全性の向上が期待できるでしょう。具体的な改修点としては、以下の内容が例として挙げられます。

  • 手すりの設置
  • 浴室入り口や床と浴槽の段差解消
  • 転倒防止の滑り止め
  • 脱衣所への椅子(腰かけ)の設置
  • 浴槽の深さ調整(浅くする)

浴室の改修においても、介護保険の適用対象外があります。例えば、ヒートショック予防を目的とした脱衣所のエアコンを設置する場合は、適用されません。

住宅改修ではいくらでも使えるのか

介護保険を利用した住宅改修は、当然ながら「何でもできる」わけではありません。改修工事種別が決められており、支給限度額も上限が設けられています。

  • 支給限度額は20万円
  • 住宅改修の支給限度額は20万円を上限とし、原則1人1回の利用となっています。20万円の限度額内であれば、残った金額は後から申請可能です。基本的には1割負担ですが、一定以上の所得がある方は2割もしくは3割負担となります。

例外として、一度20万円を使い切った場合でも再度申請をすることができます。ただし、要介護者の介護レベルが3以上になった後に、転居していることが条件です。利用する場合は、限られた条件に該当するかどうか確認してください。

  • 支援に付け入る悪徳業者に要注意
  • 制度を利用した住宅改装は、高齢者も同居家族にとっても、とても便利なものです。しかし、これを悪用する業者もたびたび報告されています。「無料で住宅改修ができる」と言って申請を勧めたり、認定申請を代行によって個人情報を取得しようとしたりといったことがあります。不要な改修工事を行われてしまうことも考えられるため、被害に遭わないように注意しましょう。

介護保険を活用した住宅改修を行うには、「最初に介護認定を受けること」が必要になっています。ご自宅に必要な改修工事について、担当の社会福祉士やソーシャルワーカーと相談するといいでしょう。分からない場合は、お住まいの地域にある社会福祉課への問い合わせるのがおすすめです。