高齢者がなる膝の病気と運動で改善するには
高齢者がなる膝の病気と運動で改善するには

高齢者への支援のポイント

高齢者のなかには、膝が痛いという方も多くいらっしゃいます。その主な原因として挙げられるのが、変形性膝関節症です。年を重ねると起きやすい病気で、歩行が困難になる場合もあります。変形性膝関節症の症状や治療法、予防方法についてみていきましょう。

高齢者がなりやすい変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、膝の関節の軟骨が傷付くことで関節が腫れることで、痛みが生じる病気です。膝は、骨の表面が軟骨によって覆われています。その骨と骨の間で、クッションの働きをしているのが半月板です。軟骨と半月板の主な成分は水で、年をとるに連れて減少してしまいます。そして、体重の増加や怪我などの負荷によって、膝の内側の軟骨や半月板が傷付いてしまうのです。

バランスが崩れてしまった膝は、内側に過度な負荷がかかるようになり、さらに症状が悪化します。症状が悪化すると、衝撃が吸収できなくなり、強い痛みを感じることもあるでしょう。また、男性よりも女性に発症しやすい病気です。60代の女性では約40%、70代では約70%の方が、変形性膝関節症になっています。

変形性膝関節症の症状

主な症状としては、膝を動かしたときに痛みがあることです。立ち上がるときや歩き始めなどが大変になるでしょう。症状が進むと、階段の上り下り、正座といった状態でも痛みを感じます。基本的には、安静にしていれば問題ありませんが、悪化すると、安静にしていても痛みを伴うことがあります。

また、関節に炎症が起こり、膝に水が溜まってしまいます。水が溜まると膝が腫れ、膝を伸ばしたり、曲げたりしにくくなります。膝の曲げ伸ばしが大変になってくると、動くのが億劫になりやすいです。病院に行き、適切な治療を受けるようにしましょう。

運動療法で治療を

治療方法としては、生活習慣の改善、装具療法、物理療法などがあり、膝への負担を減らすようにしましょう。

【生活習慣の改善】
・杖を使う
・ダイエット
・トイレを洋式にする
・筋力トレーニング
【装具療法】
・靴の中に外側が高くなるよう下敷きを入れる
・サポーターを使う
・膝を温めたり冷やしたりする
・痛み止めを使う
【物理療法】
・ヒアルロン酸など軟骨成分を注射する
・内視鏡手術(傷んだ半月板や軟骨を治療する)

他の療法に比べると、運動療法は日頃からできるものです。膝の周囲の筋肉を強化する筋力トレーニング、関節の運動、ストレッチなど行うように心がけましょう。

変形性膝関節症にならないためにダイエットを

変形性膝関節症を予防するには、生活習慣を見直すことが大切です。太りすぎになってしまうと、膝への負担が大きくなってしまいます。極端な食事制限をするのではなく、適度な運動をして、ダイエットに取り組むようにしましょう。「運動はしたいけど、膝の痛みが心配」という方もいらっしゃるでしょう。プールの水中歩行、フィットネス用のバイクなどは、他の運動より膝への負担が少ないため、おすすめです。

また、歩く姿勢が悪いことも大きな原因となります。特に猫背だと、歩くときに膝に大きな負荷がかかってしまいます。O脚も膝の内側に体重がかかるため、軟骨が傷つきやすいです。普段から背筋を伸ばして歩くようにしたり、O脚矯正したりすることで、膝への負担を減らすことができます。また、足を組む、片方だけに体重をかけて立つといった習慣も改善するようにしましょう。

女性に多くみられる変形性膝関節症は、症状が悪化すると強い痛みを感じ、歩行が困難になることもあります。

予防のために、生活習慣を見直しが必要です。体重が多い方は、適度な運動をし、膝への負担を減らすようにしましょう。また、正座からイスの生活に変えることも効果的です。早い段階で対応できるように、膝の痛みを感じ始めたら、専門の病院でみてもらうようにしてください。