認知症患者は老人ホームに入居出来るのか
認知症患者は老人ホームに入居できるのか

高齢者への支援のポイント

要介護者が認知症を患ったとき、在宅介護では厳しくなるケースがあります。施設を探すにしても、認知症患者を受け入れてもらえるのか、家族にとっては不安なことも多いでしょう。そこで、今回は認知症患者は老人ホームに入居できるのかについて説明します。

すべての老人ホームが受け入れるわけではない

結論からいえば、認知症患者を受け入れてくれる老人ホームは多くあります。しかし、すべての老人ホームが認知症患者を受け入れてくれるわけではありません。以前と比べると近年は比較的に受け入れ体制も整ってきていますが、介護職員の人数がギリギリなこと、現時点で目が離せない認知症患者が多くいる、などの理由から新たな受け入れをしてもらえない場合もあります。老人ホームを探すときには、その施設自体が認知症患者の受け入れを行っているか否かも調べておきましょう。

もし、認知症が軽度であれば認知症患者同士で助け合いながら生活をする「グループホーム」もおすすめです。介護職員はいますが、自分でできることは自分でする、というスタンスの施設です。介護職員は入居者ができないことの手伝いや、見守りをしてくれます。自分のことは自分で、というやり方ではありますが、介護職員が24時間常駐しているため安心です。

認知症でも軽度と重度で変わってくる

認知症患者であっても、重度と軽度、アルツハイマー型、レビー小体型のどれを患っているかで受け入れ態勢が変わってくる施設もあります。

アルツハイマー型は中核症状と呼ばれる記憶障害や判断力の低下、時間や場所が分からなくなるなどの症状に対して、レビー小体型は悪いときと良いときの差が目立つ認知機能の変動、夜間の幻視、身体や表情が硬くなるパーキンソン症状、更には強い妄想が出るなどがあるのです。どちらも重度の場合は目が離せないのですが、職員体制によって受け入れが可能かどうか変わってきます。

パンフレットでは受け入れ可能とあっても、現時点の入居者次第で変わってくるため電話などで問い合わせて、現時点の状況を聞いておきましょう。

認知症患者は受けいれてもらえるのか

認知症患者を受け入れてくれる施設は多くありますが、認知症の度合いによって目が離せなくなるなど、職員の負担が大きくなることから費用が高くなることもあります。ほぼ付きっ切りじゃないといけない場合は、介護費用、施設によってはサービス料として数万円の費用追加もあるようです。

この介護に関する費用は、家賃や水道光熱費とは別に計算されるものであるため追加費用となります。基本的には介護度で金額が決まりますが、施設によっては職員にかかる負担の大きさで計算するところもあります。ただ、症状のなかで頻繁に暴れる場合は、更に費用が加算されることもあるようです。

体験宿泊を活用しよう

家族側で良い施設を見つけても、職員が適切な対応ができるかが問題です。施設職員は専門資格を持った介護のプロですが、入居予定者に適切な対応ができない場合があります。入居予定者が快適に暮らせるのかを調べるだけではなく、施設職員側も「この人にはちゃんと対応できる」と思ってもらえるかを確認するためにも、体験宿泊を利用してから本契約に進んだ方が失敗は少ないと思われます。

認知症患者にとって、施設入居は環境が変わるため、徘徊などの症状があった場合、入居後は悪化する可能性もあります。しかし、施設職員が介護してくれるため徐々に慣れていき、頻度があがった徘徊も落ち着く傾向にあります。体験宿泊は、いきなり環境を変えるのではなくワンクッション的な意味もあるためなるべく行いましょう。

在宅で認知症患者を介護するのは厳しい家庭もあるでしょう。しかし、費用面から誰でも施設に頼ることができないのも事実です。自治体に相談することで、経済的な負担を軽減できる場合もあります。認知症患者を受け入れてくれる施設も年々増えているので、以前ほど入居施設に困ることは少なくなっています。