住まない家を老人ホームの費用に!マイホーム借り上げ制度とは?

老後のお金・年金

「マイホーム借り上げ制度」という制度をご存知でしょうか。

高齢になり施設への入居を検討する際、気になるのが住宅問題。
売却するのか、賃貸に出すのか悩まれている方もいらっしゃるかもしれませんね。

この記事では、「マイホーム借り上げ制度」について詳しく解説していきます。
制度を知り、目的に合わせた最適な選択をしていきましょう。

マイホーム借上げ制度とは

「マイホーム借り上げ制度」とは、50歳以上の人のマイホームをJTI(一般社団法人移住・住みかえ支援機構)が借上げて、子育て世帯などに貸出してくれる制度です。

JTIは、家を長く活用することを目的として2006年に設立された一般社団法人です。
「マイホーム借り上げ制度」は使われていない自宅を活用し、老後資金・介護資金作りに役立てる1つの方法ではありますが、まだまだ認知されておらず、集客力もないのが現状です。

それでは、「マイホーム借り上げ制度」の特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。

マイホーム借上げ制度の特徴

マイホーム借上げ制度には、2つの大きな特徴があります。

特徴1.マイホームを財産として活用できる

高齢化が進む昨今、空き家が目立つようになってきました。
平成 30 年住宅・土地統計調査によりますと、空き家率は13.6%と過去最高の結果に。
「マイホーム借り上げ制度」を活用すると、自宅を空き家にすることなく安定した家賃収入が得られます。

また、得られる家賃収入を住みかえや老後資金・介護資金として活用することができるため、資産活用という観点からみても非常に魅力的な制度です。

特徴2.空室の場合でも賃料が受け取れる

「マイホーム借り上げ制度」の大きな特徴は、1人目が入居した後は空室になっても規定の家賃が保証されることです。家賃収入が急になくなる心配もなく、空室対応の備えも特に必要ありません。

また、公的機関であるJTIが借上げてオーナーの代わりに貸出してくれるため、家賃滞納などの入居者とのトラブルの心配もありません。

そして定期借家契約終了時には、マイホームに戻ることも、子どもに相続することも、売却することも可能なのです。

制度を利用するための条件

この「マイホーム借り上げ制度」は国内に住む50歳以上の人なら国籍を問わずに利用でき、また海外に住む50歳以上の日本人も利用可能です。

「マイホーム借り上げ制度」の対象になる建物は、一戸建てやマンション、共同建て(タウンハウスなど)の住宅ととても幅広く、現在住んでいるかどうかは関係ありません。

ただ、以下の条件を満たしておく必要があります。

1.共同所有の場合は、登記簿に記載された共有者全員が制度利用を承諾し、契約の際当事者となること。
2.土地について所有権または適法な権利(借地権、長期の定期借地権など)を持っていること。
3.現在制度利用者(オーナー)以外の者が住んでいる場合には、原則として制度利用を申し込む時点で明け渡しが完了していること。
4.JTIが指定する業者の建物診断を制度利用者(オーナー)の負担で受けること。なお、1981年6月の新耐震基準以前に建築確認が申請された住宅については、原則として耐震診断を受けていただきます。
5.建物が事業用物件でないこと。住宅の一部が店舗や事務所である場合にはその部分は原則として借り上げられません。また賃貸アパートや当初から賃貸併用(自己居住部分と賃貸部分が一体となった建物)である住宅の賃貸部分は、原則として借り上げの対象とはなりません。
6.建物が建築基準法や建築基準関係規定に違反していないこと。

つまり、新耐震基準を満たしていて住宅ローンを払い終えた建物でなければいけません。
1981年5月31日より前に建てられた建物で制度を利用したい場合、自費で耐震診断を受けて耐震性の証明をする必要があります。そしてもし新耐震基準に達していない場合には、耐震補強工事を行わなければいけないのです。

マイホーム借上げ制度のメリット

「マイホーム借上げ制度」には主に以下のメリットがあります。

  • 1人目が入居した後は空室が発生しても賃料が保証される
  • 3年ごとに解約の機会があるため、解約後は売却や子どもへの相続が可能
  • 公的機関であるJTIが借上げるため、オーナーは入居者と直接かかわる必要がなく、家賃滞納などトラブルに巻き込まれない
  • 借上げ時の改修費用や住み替え先の購入資金を、賃料を担保としたローンでまかなうことが可能。

オーナーが高齢になっても安定した家賃収入が得られるため、まさに「第2の年金」のような心強い制度です。

マイホーム借上げ制度のデメリット

しかし、前述のメリットだけではなく、さまざまなデメリットもあります。

  • 賃料は近隣相場よりも低くなることがある
  • 新耐震基準を満たさない場合はオーナー自身が補強工事を行う必要がある
  • 空室時保証賃料は毎年、家賃は3年または退去ごとに安くなる
  • 一般の不動産会社を利用した募集との併用が不可

賃料は、地域の賃貸相場や建物の状況などから判断して、JTI協賛会社やハウジングライフプランナーが査定し、JTIが承認することで決定します。賃料から15%の管理費用や機構の運営費を差し引いた額がオーナーの手取りとなるのです。さらに、家賃は3年ごとに見直されるため、年々安くなります。

また、新耐震基準を満たしていない建物の場合には、耐震工事を行ってから制度申請しなければならないため、工事費用はオーナー負担となります。

ほかにも、集客力のある一般の不動産会社による募集と併用が不可のため、利用開始までに比較的時間がかかるなどのデメリットもあります。

まとめ

「マイホーム借り上げ制度」は、家賃収入は低めになるものの、安定した収入が得られる魅力的な制度です。
高齢になり住み替えを検討していて自宅を手放したくない人には有効な選択肢かもしれません。

マイホームの立地や目的に応じて、「マイホーム借り上げ制度」の他にも「売却」や「一般の不動産会社を利用する」など、さまざまな方法を比較検討してみてはいかがでしょうか。